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AIと人材のジレンマ:追随ではなく、AI時代をリードするために

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AIトランスフォーメーションとは人材変革そのものですが、人事部門にはそれを主導する準備が十分に整っていません

AIパルス調査 | 第5弾

12 min read

経営層の多くは、2030年までにAIが企業価値の向上に大きく貢献すると見込んでいます。一方で、その価値を実現するために必要な人材、組織運営モデル、リーダーシップ能力の整備が進んでいるのかという点には、依然として課題が残されています。

こうした価値創出を実現するうえで、人事部門は極めて重要な役割を担います。AIを前提として設計されていない人材・組織モデルにAIを導入しても、活用は進まず、期待される投資対効果(ROI)も十分に得られません。役割、スキル、働き方を含む人材戦略を整合させることで、人事部門はAI投資を測定可能な企業価値へと転換します。

AIの可能性を最大限に引き出すことは、経営層全体の責務です。経営陣は、役割設計、報酬制度、スキル、人材マネジメントのあり方について共通認識を持ち、AI活用への意欲を人材変革、組織の備え、AI活用の定着へとつなげられるよう人事部門に権限を与える必要があります。

主なポイント

  • AIトランスフォーメーションは、単なるテクノロジー導入ではなく、最終的には人材とリーダーシップの変革である
  • 経営幹部はAIの価値を認識している一方で、人材の準備状況、組織運営モデルの変革、AI活用の定着に関する整合性にはさらなる強化が求められる
  • 人事部門はAI活用を推進する重要な役割を担っており、業務設計の見直し、スキル変革の推進、組織全体のAI活用基盤の整備において大きな役割を果たすことができる
  • 人材育成は進んでいる一方で、業務そのものの変革は十分ではない。リーダーはAIスキルの構築には自信を示しているものの、仕事の進め方そのものの再設計には課題が残る

第5弾の主な調査結果

AIへの備えに関するギャップ

AIへの期待が人材に関する意思決定へどのように反映され、ROIを実現するために何が必要となるのかを明らかにします。

AIは、業務プロセスの最適化や生産性向上の段階を超えつつあります。

企業は現在、主に効率化を目的としてAIを活用していますが、リーダーは、ビジネス価値創出を目的としたAI活用が現在の10%から3年以内に52%へ増加し、業務プロセスの最適化や生産性向上を上回る主要なAI活用目的になると見込んでいます。

この変化は、企業がAIをどのように活用するかについて、より大きな変革が進んでいることを示しています。AIへの期待が、業務改善からビジネス価値創出へと移行する中で、企業にはその転換を支える人材戦略、スキル、組織運営モデルが求められます。

現在、AIは効率化を支援していますが、今後は成長をけん引することが期待されています。

AI導入はあらゆる機能で加速していますが、その進展度合いは一様ではありません。

IT部門におけるAI浸透率は57%である一方、HRでは11%にとどまっており、5倍以上の差が見られます。これは、テクノロジーの準備状況と人材の準備状況の間にギャップがあることを示しています。

AI活用への期待が高まる中、企業はテクノロジー投資と同時に、人材戦略も進化させる必要があります。

人材の備えが遅れると、AI投資のROIは十分に実現されません。

CHRO(最高人事責任者)は、AIに必要な人材面の変革について、ITリーダーと比べて大幅に低い準備状況を報告しています。役割設計について、自社がAIに対応できていると強く同意したCHROは13%にとどまり、ITリーダーの36%を大きく下回っています。人材育成についても、CHROは14%、ITリーダーは46%と大きな差が見られます

こうした領域で十分な準備が進まなければ、企業はAI投資をビジネス価値へと転換するうえで課題に直面する可能性があります。

自動化の先にある、業務の再設計へ

企業は、学習プログラム、従業員の関与、明確なコミュニケーションを通じてAI活用を推進しています。これらは、調査回答者が最も効果的とした3つの取り組みです。これらの施策は従業員がAIを受け入れるうえで有効ですが、それだけではAIの価値を十分に引き出すことはできません。

AIは単に業務を自動化するだけでなく、仕事の組み立て方、スキルの育て方、成果の測り方を変えることで価値を生み出します。その価値を実現するには、単なるAI活用の定着ではなく、業務そのものの再設計が必要です。

経営層はAIの価値を引き出すために何をすべきか

AIの価値を引き出すには、経営層全体が人材変革について認識をそろえる必要があり、人事部門を後追いの実行部門ではなく、戦略的パートナーとして位置づけるべきです。AIの価値を実現する組織と、投資を続けながら成果を待ち続ける組織を分けるのは、4つの取り組みです。

人事部門が十分に関与しない場合、どれほど高度なAI投資であっても、その効果は限定的なものにとどまります。

ギャップを埋める準備はできていますか。以下の7つの質問を通じて、自社およびチームの状況を確認してください。

AI人材の備えを評価する7つの質問

以下の質問は、AI活用と価値創出を妨げる可能性のある人材面のギャップを明らかにするためのものです。

AI workforce readiness

経営層は、役割や報酬、キャリアパスがどのように進化すべきかについて合意していますか。

AI workforce readiness

人事部門の運営体制(および実行能力)は、ビジネスニーズに合致していますか。

AI workforce readiness

各部門のAI学習および開発戦略は、迅速かつ継続的なリスキリングを目的として設計されていますか。

AI workforce readiness

ビジネス主導のAIイニシアチブは、組織全体における人事プログラムとどの程度整合していますか。

AI workforce readiness

マネージャーは、人とデジタルワーカーの両方を含むチームを率いる準備ができていますか。

AI workforce readiness

人事部門におけるAI導入を遅らせている障壁は何ですか。

AI workforce readiness

AIは、人事部門自身の変革をどのように加速し、組織全体のAI活用の効果を高めるために必要な余力をどのように生み出せますか。

よくある質問

+ 全て表示

企業におけるAI導入を阻む最大の障壁は何ですか。

+

企業におけるAI導入を阻む最大の障壁は、テクノロジーそのものではなく、人材と経営層の認識に関する課題です。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、約800名のグローバル経営幹部を対象に調査を行い、現在AIを主にビジネス価値創出のために活用している企業は10%にとどまることが明らかになりました。また、AI導入はIT部門やR&D部門で最も進んでいる一方、HR、内部監査、サプライチェーンでは相対的に低い水準にあります。テクノロジーと並行して、役割、スキル、人材マネジメントのあり方を再設計しなければ、AI活用は進まず、期待されるリターンも十分に得られません。

なぜ企業はAI投資からROIを十分に実現できないのでしょうか。

+

企業がAI投資からROIを十分に実現できない理由は、AIを受け入れるために再設計されていない組織運営モデルにAIを導入しているためです。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、AIが効率化のためのツールから価値創出のエンジンへと移行しつつあることが示されています。現在は、業務プロセスの最適化(50%)と生産性向上(40%)が主な推進要因ですが、3年以内にはビジネス価値の創出が最も重要な推進要因になると見込まれています。その価値を実現するには、役割、報酬、人材育成、マネジメントケイパビリティを連動させて変革する必要があります。

AI活用の成功において、なぜ経営層の認識の一致が重要なのでしょうか。

+

AIがもたらす価値は、仕事のあり方がどのように変化しているのかについて経営幹部全体が共通認識を持てるかどうかに左右されるためです。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、約800名の経営幹部のうち約80%が、3年以内にAIが最終利益の改善、市場投入までの時間短縮、売上成長に貢献すると見込んでいることが示されています。一方で、CHROは、3年後のAI活用目的としてビジネス価値創出を最上位に挙げていない唯一の経営幹部リーダーです。この認識のギャップは、AIトランスフォーメーションが停滞する大きな要因の一つとなります。

なぜ人事部門は、他の部門に比べてAIの備えに対する自信が低いのでしょうか。

+

人事部門のリーダーがAIの備えに対して他部門より慎重な見方を示す理由は、役割、報酬、キャリアパスを再設計することの複雑さを最も身近に認識しているためです。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、役割設計がAIに対応できていると強く同意したCHROは13%、人材育成の実行能力が整っていると回答したCHROは14%にとどまりました。これに対し、ITリーダーではそれぞれ88%、96%となっています。また、HR自身のAI導入もIT部門やR&D部門に比べて遅れており、より現実的な見方につながっています。

なぜ人事部門はAIトランスフォーメーションの成功に不可欠なのでしょうか。

+

人事部門がAIトランスフォーメーションの成功に不可欠なのは、AIトランスフォーメーションが最終的には人材変革だからです。役割の再設計、従業員のリスキリング、報酬制度の見直し、人間とデジタルワーカーが協働するチームを率いるマネージャーの育成などをどれだけ迅速に進められるかは、人事部門が担う仕組みによって決まります。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、91%の経営幹部が2030年までに組織構造に人間とデジタルワーカーの双方が含まれると見込んでおり、89%がAIによって新製品・サービスの市場投入までの時間が短縮されると考えています。いずれの実現にも、人事部門が組織運営モデルを形づくることが欠かせません。人事部門がAIに関する意思決定に戦略的パートナーとして関与すれば、企業はAIを大規模に取り込むことができます。一方、人事部門が迂回されれば、AI活用は遅れ、期待されるリターンは縮小します。

人事部門がAIトランスフォーメーションに関する意思決定に関与しない場合、何が起こるのでしょうか。

+

人事部門がAIトランスフォーメーシに関する意思決定に関与しない場合、企業はAIを受け入れる設計になっていない組織運営モデルにAIを導入することになり、活用が限定され、価値創出も抑制されます。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、CHROの約60%が、3年以内にAIが活用される人事部門の業務は25%未満にとどまると見込んでいることが明らかになりました。一方で、人事部門の業務の80%超は何らかの自動化に適しているとされています。経営幹部が人事部門を迂回し続ける場合、人事部門は戦略的パートナーとしての位置づけを失うリスクもあります。

AI戦略において、CHROはどのような役割を担うべきでしょうか。

+

CHROは、IT、財務、CEOが決定した内容を後工程で実行するだけの立場ではなく、全社AI戦略の共同オーナーとなるべきです。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、AIによる価値創出には、役割、報酬、人材育成能力、人材マネジメントの再設計が必要であり、これらはいずれも人事部門の管掌範囲に含まれることが示されています。CHROの役割は、人材変革をテクノロジー投資と整合させ、AI導入計画を役割・スキルの再設計へ落とし込み、人間とデジタルワーカーが協働するチームを率いるマネージャーを育成し、2030年の組織図を意図的に設計することです。現在、3年以内に人事部門の業務の半分以上がAI化されると見込むCHROは5%にとどまる一方、IT業務について同様に見込むCIO・CTOは62%に上ります。このギャップを解消することが、CHROにとって最も差し迫ったAI課題です。

AIへの備えができた人材とは、どのような状態でしょうか。

+

AIへの備えができた人材とは、人間とデジタルワーカーが共に業務を担うことを前提に、役割、スキル、報酬、学習、人材マネジメントのあり方が再設計されている状態を指します。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、91%の経営幹部が2030年までに人間とデジタルワーカーが共存する組織構造が一般化すると見込んでいる一方で、役割設計が整っていると強く同意した回答者は28%、人材育成のケイパビリティが整っていると強く同意した回答者は36%にとどまりました。 AIへの備えができた組織は、単に研修を充実させるだけでなく、これらのギャップを並行して解消します。

AIは人材計画や組織設計をどのように変えるのでしょうか。

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AIは、業務をより少数で高い影響力を持つ役割へ集約し、人間に加えてデジタルワーカーを組織図に組み込むことで、人材計画と組織設計を変化させます。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、91%の経営幹部が2030年までに組織構造に人間とデジタルワーカーの双方が含まれると見込んでおり、89%がAIによって市場投入までの時間が短縮されると考えています。今後の人材計画では、人間とデジタルワーカーを組み合わせた体制、再設計されたキャリアパス、更新された報酬制度、そして混合チームを率いる準備ができたマネージャーを考慮する必要があります。

企業はAIの活用を見据えて、職務やスキルをどのように再設計すべきでしょうか。

+

企業は、テクノロジーからではなく、職務そのものから出発して、AIの活用を見据えた職務とスキルを再設計すべきです。プロティビティのAIパルス調査第5弾では、人材育成のケイパビリティがAIに対応できていると強く同意した経営幹部は36%である一方、職務設計が整っていると強く同意した回答者は28%にとどまりました。したがって、研修だけでは十分ではありません。推奨される順序は、まず各役割の中でAIに適したタスクを特定し、次に人間の判断が引き続き必要となる領域を中心に役割を再構築し、そのうえで報酬、キャリアパス、学習プログラムを見直すことです。

AIと人材のジレンマ:専門家の視点

プロティビティの専門家であるFran Maxwellの独占インタビューを通じて、調査結果をさらに深掘りします。職場におけるAIの役割の進化についての見解や、「未来の働き方」に備えるうえでリーダーが考慮すべきポイントをご紹介します。

プロティビティの専門家のご紹介

Tom Andreesen, マネージングディレクタ兼AIリーダー

Tomは、33年以上にわたり、企業の業務強化に向けたさまざまなビジネスおよびテクノロジーソリューションの構築・導入を支援してきたマネージングディレクタです。また、オペレーショナルリスク、テクノロジーリスク、規制コンプライアンス要件への対応を目的とした、リスク管理態勢やガバナンスプログラムの整備において多くの企業を支援してきました。現在は、プロティビティのグローバルMicrosoftアライアンスプログラムのリーダーを務めています。

Fran Maxwell,マネージングディレクタ

Franは、プロティビティのCHROチームおよびPeople and Changeのグローバルリーダーです。彼は21年以上にわたり、人事およびチェンジマネジメントコンサルティングの経験を有しています。現在は米国アリゾナ州フェニックスを拠点としています。 2021年にプロティビティへ入社する以前は、 Willis Towers Watson(旧 Towers Watson)において、マーケットリーダーおよびクライアントマネジメントリーダーを務めました。それ以前には、事業開発・戦略担当ディレクター、人事・給与管理システム(Workday)導入プラクティスリード、人事サービスおよびWorkday営業担当ディレクター、米州地域セールス&マーケティングリーダーなど、さまざまなリーダーシップ職を歴任しています。

Franは、ニューヨーク州スケネクタディのユニオン・カレッジを卒業後、ニューヨーク州立大学アルバニー校にてMBAを取得しています。

Danny Ferron,マネージングディレクタ

Dannyは、経験豊富なグローバルHRトランスフォーメーションコンサルタントであり、人事サービスの提供のあり方をグローバルに再構想することでクライアントを支援することに情熱を注ぐ、業界のオピニオンリーダーです。これまで25年にわたり、Accenture、Towers Watson、EY、プロティビティの4社において人事コンサルタントとして活動してきました。人材戦略がビジネスパフォーマンスに与える影響がかつてないほど明確になり、従業員の期待もこれまでになく高まる中、人事エグゼクティブや人事コンサルタントにとって、今ほど重要な時代はありません。

AIを活用して業務をデジタル化された環境へ移行する取り組みから、複数のテクノロジーを横断して将来に適した従業員体験を構築する取り組みまで、テクノロジーのモダナイゼーションはクライアントにとって大きな変革をもたらしています。AIが人事業務の進め方を変革する中、企業にはターゲット・オペレーティング・モデルの見直しに加え、新たな人事サービスや人事担当者に求められるスキルへの重要な投資が求められています。

Kimerle Campbell、ディレクタ

Kimerleは、プロティビティのPeople & Changeプラクティスのディレクタです。彼女は20年以上にわたり、組織に対する人材および組織変革の支援に携わってきました。経営層と連携し、人材、組織文化、組織設計、従業員体験に関する戦略を事業目標や成長戦略と整合させる支援を行っています。

プロティビティ入社以前は、Willis Towers WatsonのEmployee Experience(従業員体験)プラクティスにおいてリーダー職を務め、グローバル企業が直面する複雑な人材および組織課題への対応を支援していました。現在は米国コロラド州デンバーを拠点としています。ボストンのノースイースタン大学にて経営学の学士号を取得しています。

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